原告は、北アフリカの国に生まれ育ち、思春期のときに自身が同性しか愛すことができないことに気づきました。原告は、成人になり、愛する同性の方と交際しました。
しかし、原告の国では、法律上も宗教上も、同性愛は決して許されません。原告は、家族に交際が発覚し、激しい暴力・監禁を受け、最終的には車で轢き殺されそうにもなりました。
原告は、警察にも逃げ込みましたが、「今回は見逃してやるが、次は逮捕する」と追い返されてしまいました。
原告は、このまま国にいると、家族からの暴行でいつか殺されるか逮捕されてしまうと思い、出国を急ぎました。
比較的容易に入国できる国を探したところ、その国が日本でした。原告は、難民申請をしましたが、認められず、現在取消訴訟を提起しています。
この事件、もっといえば難民訴訟では、迫害国から逃げて来ているので、客観証拠がありません。原告の供述が多くを占めます。
この訴訟だけではありませんが、国側は、原告の話す内容に信用性がないと主張しています。
裁判所には、原告が話す内容が真実であると伝える必要があり、そういう意味で次回11月30日の本人尋問はこの訴訟の佳境を迎えます。
またこの訴訟では、国側は、原告は既に交際相手と別れたのであるから、国に帰っても迫害のおそれはないという旨の主張もしています。しかし、恋愛指向は、自身の気持ち如何によって変えることはできず、そもそも誰を愛するのかは本来自由であるべきことです。
この訴訟は、人間の尊厳をいかに守ることができるかを問われる裁判でもあります。
是非、皆さまに傍聴に来ていただき、原告を応援している仲間がたくさんいるんだと裁判官に本気度を伝えていただけたらと思います。(弁護士 松本亜土)
※11月30日の裁判傍聴については、下の「4.RAFIQ 11月の予定」を併せてご覧ください。