RAFIQ Magazine
3月号

2023年12月1日より、補完的保護対象者の認定制度が始まりました。その中、RAFIQで支援しているスーダン難民が難民不認定になりましたが、この補完的保護の認定を受けました。RAFIQで支援している方の中では、初めてです。ウクライナ人以外でも、この補完的保護認定が受けられるということは、他の難民申請者にとっても期待もできることでしょう。しかし、詳細が不明な部分も多く、これからの支援で初めて見えてくることも多くあると思われますが、支援の幅が広がったと感じています。

目次
1.2023年の日本の難民数発表 3月26日
2.3月15日に閣議決定された入管法改正情報
3.スーダン親子に寄り添って
4.大阪マラソンのチャリティランナーとして
5. RAFIQ 4月の予定

1.2023年の日本の難民数発表 3月26日 

本日3月26日に出入国在留管理庁から2023年の難民認定者数等が発表されましたので、要点をご紹介します。
難民認定申請者は、コロナ前を上回る13,823人、認定者は2022年より101人多い303人でした。
2022年の認定者202人の大半はアフガニスタンとミャンマーからで、この2か国以外は29人でした。2023年に認定されたこの2か国以外からの難民はわずか39人で、10人増えただけでした。
昨年12月から実施された「補完的保護」の申請者は1か月で678人に上り、既に認定された人は2人でした。
日本は、難民認定を抑制し独自の補完的保護と人道配慮を行う方向に進んでいるようです。
日本は昨年12月のグローバル難民フォーラムでは共同議長国を務めています。日本の難民政策が世界から注目されるなか、難民保護が進んでほしいものです。
 
<主な発表内容>
難民認定数 303人(審査請求で認められた14人を含む) 
認定国トップ5 アフガニスタン237人、ミャンマー27人、エチオピア6人、イエメン5人、中国5人
難民認定申請者 13,823人
処理数 11,643人(一次審査8,184人、審査請求3,459人) 
不認定者 7,627人(一次審査5,045人、審査請求2,582人)
※一次審査で不認定になった者のうち2人は補完的保護対象者と認定
補完的保護申請者 678人 うちウクライナ669人 その他5か国9人
人道配慮(1年の定住者) 1,005人
RAFIQ関係の難民認定者 3人 うち一次審査で1人(申請して4か月で認定)、審査請求で1人(4年半)、大阪地裁で不認定取消が認められた後に認定1人(3年)
 
出入国在留管理庁 報道発表資料「令和5年における難民認定者数等について」
 

2. 3月15日に閣議決定された入管法改正情報

出入国管理及び難民認定法(入管法)等の内容が次々と改正されています。3月15日には「永住許可を取り消す」内容や技能実習生制度に替わる「育成就労制度」「マイナンバーカードと在留カードの一体化」が閣議決定されました。
永住許可の取消しは12月から実施されている補完的保護認定者や難民認定者にも可能な制度で、取消の条件に、これまでになかった税金や社会保険料の滞納、軽微な法令違反が含めまれることになります。
RAFIQも加盟している移住者と連帯するネットワーク(移住連)や弁護士会は声明を発表しています。
 
移住連 「公正な移民社会」にふさわしい法制度を
― 2024年入管法改悪にNO! ―
 
東京弁護士会 永住者の在留資格の取消しを容易にする法改定に反対する会長声明
https://www.toben.or.jp/message/seimei/post-714.html
 
法務大臣記者会見の概要 3月15日
 
また、3月5日には法務省が「令和5年入管法等改正法の施行に伴う在留特別許に係るガイドラインの見直しについて」を発表しました。
在留特別許可は退去強制状態の外国人であっても法務大臣が特別に在留を認める制度です。難民も人道配慮の在留特別許可が可能です。その不許可条件に、以下の内容が含まれました。
・刑罰のある法令に違反
・入管行政の根幹に関わるような違反
・仮放免中に逃亡したことがある
・非正規滞在の期間が長い(難民認定に年月を要し仮放免となる難民は多く、この間は非正規滞在者)
・不法、不正に入国した(パスポートが発行されないため、やむを得ず偽造パスポート等で入国する難民は多い)
出入国在留管理庁「令和5年入管法等改正法の施行に伴う在留特別許可に係るガイドラインの見直しについて」

3.スーダン親子に寄り添って

2023年12月から、スーダン難民支援チームのお手伝いとして、子どもさんの予防接種に付き添ってきました。当初は、言葉もできない私がどんな役に立てるのか心配ではありましたが、この3か月間を振り返って、少しでも役に立つことができ参加してよかったと感じています。スマホの翻訳機能を使えるようになったのもうれしいです。
私が子育てした時代とは違い、予防接種の種類も回数も格段に増えていて、零歳児の場合、約5種類のワクチンを各3回程度、7~8か月の間に完了する必要があります。さらに昔からなじみのあるBCGの接種が後半に加わります。結果的に、このマネジメントと申込書の記入が私の役割になりました。役所から配布された予防接種手帳の資料をもとに看護師さんと相談し、適切な間隔をおいてワクチンの種類を決めます。日本人でも、それぞれのワクチンの間隔や注意事項などを記載した資料を読解してスケジュール調整するのは、かなり手間のかかることですが、言葉の壁のある難民の保護者が、クリニックの看護師さんと都度相談するのはなかなか困難と思われます。というわけで、これまでのところ6回付き添いました。幸い、赤ちゃんがいつも元気で機嫌が良く、予定通り進められているのも、神様の思し召しに思えます。毎回成長していく赤ちゃんに、クリニックのスタッフの皆さんが親しみを込めて接してくださるのもうれしいことです。
3月後半から5月にかけて、4回程度、その後BCGという段取りです。どうかこの先も赤ちゃんが健康で順調に、副反応も起こさず進められるよう願うばかりです。
(RAFIQ 会員 Hさん)

4.大阪マラソンのチャリティランナーとして

2024年大阪マラソンに、RAFIQが寄付先団体として初めて選出されました。学生、社会人の会員とボランティア7人がチャリティランナーとして結集し、2月25日の本大会に臨みました。
寄付集めは試行錯誤の連続でした。SNSでの情報発信やオンラインイベントを通じて、難民支援への共感と支持を広げるために奮闘しました。
当日は雨の中、それぞれが抱えるストーリーや想いを胸に一歩ずつ前進。沿道からの声援は私たちの進む勇気となり、冷たい雨を心の温もりで溶かして走り切ることができました。本大会は、資金集めという目標を達成するとともに、それぞれが難民問題への理解を深める機会となりました。
チャリティランナーのHさんからは次のような感想が寄せられました。「大阪マラソンのチャリティランナーとして参加するには、7万円以上の寄付金を集める必要がありました。ファンドレイジングのために何ができるか考え、難民についてのイベントを開催しました。人脈がない中でしたが、難民として日本に来られた方や、ソーシャルビジネスを行っている方のサポートを得て、イベントを実現しました。また、完走したいという想いから、月に200km走るトレーニングも並行して行いました。フルタイムでの仕事とイベントの準備、そして日々のトレーニングを両立するのは容易ではありませんでしたが、支援者からの暖かい応援と励ましのおかげで、充実感と使命感を持って走ることができました」
今回の経験を次への一歩に変えていきたいと思います。

         事前イベント「大阪マラソンEXPO2024」にも出展しました。

 3.RAFIQ 4月の予定

難民裁判の傍聴

RAFIQでは難民の裁判を数多く支援しています。今回はアフリカから逃れてきた人が難民不認定と在留特別許可不許可の取消を求めている裁判で、本人尋問を傍聴します。提訴から2年以上がたち、本人は一日も早くよい結果が出ることを望んでいます。
日時:4月2 2 日(月)13:00~16:00  ※終了時刻は予定です。通訳を介し長時間となるため、裁判後の説明会は行わない予定です。
場所:大阪地方裁判所(大阪市北区西天満2-1-10 )806号法廷 
予約:https://forms.gle/jQcX1ywdEJ6HG44NA ※法廷が変更になった場合等にご案内します。

難民初級講座「難民についてもっと知りたい」&ボランティア説明会
講座では、日本における難民保護の現状と課題を解説します。ボランティア説明会では、RAFIQの活動内容を具体例を挙げてご紹介します。受講された方にはRAFIQ編集のテキスト『もっと知ろう!もっと考えよう! 難民のこと』をお送りします。
オンライン(Zoom)で開催 要予約

日時:4月13日(土)14:00~17:00 ※16:00からはボランティア説明会

参加費:2,000円(学生1,000円、RAFIQ会員1,000円)
予約:http://rafiq.jp/learn.html
※予約された方には開催の約1週間前に参加費の振込先をお知らせします。入金確認後にZoom のURL等を送ります。

難民カフェ
毎月第三火曜の夜は、緑に覆われた古民家カフェで、"難民"がテーマの交流会を開催しています。予約不要でどなたでも参加でき、難民当事者が参加することもあります。
日時:4月16日(火) 19:00~21:00
場所:サロン・ド・アマント天人(大阪市北区中崎西1-7-26)
参加費(カレー・チャイ付き難民支援カンパ):1,500円    

 難民支援にご協力をお願いします

RAFIQは皆さまからのご寄付で、日本に逃れてきた難民を支援しています。
下記の方法で、ご支援お願いします。
RAFIQに支援金を送る
オンライン寄付サイト Give One で「困窮する難民申請者への生活支援事業」に支援金を送る
https://giveone.net/supporter/project_display.html?project_id=20367
Give Oneでの寄付は税金控除の対象となります。
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2024年 3月号  2024年3月26日発行
 
 発行:NPO法人RAFIQ  難民との共生ネットワーク

 ホームページ: http://rafiq.jp

 お問い合わせ:TEL・FAX:06-6335-4440
      rafiqtomodati@yahoo.co.jp
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