RAFIQ Magazine

2025年6月号

 

毎年6月20日は、「世界難民の日」と制定されており、難民のおかれている現状や彼らの思いを知り、学ぶ日です。皆さんは、難民を知る・考えるきっかけになったでしょうか?

今回のメルマガでも報告があるように、UNHCRから2024年の世界の難民数が発表され、さらに難民への関心が高まっています。少しのきっかけ、そしてその行動が、社会を大きく変えることでしょう。

目次
1.UNHCRが2024年の世界の難民数等を発表
2.寄稿  難民インタビュー供述調書の開示を求める訴訟が始まります
3.難民カフェスペシャルを通して私が感じたこと
4.RAFIQ 今後の予定

.UNHCRが2024年の世界の難民数等を発表

6月12日、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)が、2024年に紛争や迫害によって故郷を追われた人の数を発表しました。
6月20日が世界難民の日であることから、UNHCRは毎年この時期に前年の難民や国内避難民の数を発表しています。
2024年には1億2,320万人、世界で67人に一人が故郷を追われています。その数は日本の人口(概算1億2,336万人 2025年6月1日現在)とほぼ同じで、UNHCRは「紛争で故郷を追われた人の数が、過去10年で衝撃的な高水準に達した」としています。そして、紛争はさらに拡大しています。
紛争や迫害によって故郷を追われた人のうち、昨年、出身国で一番多かったのはスーダンで、難民と国内避難民を合わせて1,430万人、次いでシリアが1,350万人、アフガニスタンが1,030万人、ウクライナが880万人でした。
スーダン難民はRAFIQも複数名を支援していますが、日本での報道はほとんどありません。
昨年の世界の庇護希望者は840万人で、そのうち日本で新たに難民認定の申請を行ったのは12,373人でした。
一方、日本で2024年に難民と認定された人はわずかに190人でした。その内訳はアフガニスタン人102人、ミャンマー人36人、その他の国が52人で、2か国以外の認定は進んでいません。
昨年6月からは、3回目以上の難民認定申請者の送還を可能とする「入管法改正」が実施され、難民保護は厳しい状態が続いています。
20日の世界難民の日に、国連のグテーレス事務総長は「連帯」の必要性を訴えていました。
RAFIQはこれからも、難民に寄り添い「連帯」する行動を進めていきたいと考えています。
 
UNHCR 数字で見る難民情勢(2024年)
 
UNHCRプレスリリース
UNHCR、紛争で故郷を追われた人の数が、過去10年で衝撃的な高水準に達したと発表
 
国際連合広報センター
世界難民の日(6月20日)に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長メッセージ
 
出入国在留入管庁 令和6年における難民認定者数等について
  

2.寄稿 難民インタビュー供述調書の開示を求める訴訟が始まります

                      弁護士 中村ちとせ
この裁判は、難民調査官によるインタビューで作成された、原告ら本人の供述調書の全面開示を求めるものです。
原告らは、北アフリカ出身の難民です。政権批判団体を支援したことを理由に迫害を受けたため、2022年末に日本に逃げ、すぐに難民認定申請をしました。現在は、一次手続の結論を待っているところです。
原告らが、難民調査官のインタビュー時に作成された原告ら自身の供述調書の開示請求をしたところ、原告ら自身の供述が記載された全ての部分と通訳人の氏名部分が墨塗りされて開示されました。その理由は、開示すれば、出入国管理局の難民認定手続の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるというものでした。
難民申請者は、迫害されている国から避難してきたため、自身が迫害されていることを示す客観証拠を保有していないことが多く、本国にいる証人を呼び寄せ、証言を得ることもほとんど不可能です。そのため、難民申請者の供述は、難民該当性を立証するための極めて重要な証拠であり、唯一の直接証拠である場合も多いです。そのような重要な供述調書の記載内容を原告ら自身及び代理人が確認することは、原告らにとって極めて重要です。
これに対して、難民申請者の供述調書を開示したとしても、出入国管理局の難民認定手続の事務に支障を及ぼすことは考えられません。
この裁判は、難民申請者本人の供述調書を開示しない入管当局の運用を正すための裁判でもあります。
弁護団は、原告らの難民認定申請の代理人である川﨑真陽、中村ちとせに加え、情報開示請求のエキスパートである坂本団、服部崇博という布陣で臨みます。
是非とも法廷にお集まりいただき、応援の程、よろしくお願いいたします。
 
※この裁判は7月7日に大阪地方裁判所で傍聴できます。下の「4.RAFIQ 今後の予定 難民裁判」でご確認ください。

 3.難民カフェスペシャルを通して私が感じたこと

6月21日、RAFIQのイベント「難民カフェスペシャル」が開催されました。このイベントでは、スーダン難民が題材の映画「戦火のランナー」を上映し、難民当事者や支援者の話を直接聞くというものでした。
私はチラシの裏面と司会を担当しました。ちゃんとした司会をしたことがこれまでなく、焦ったこともありました。ただやり終えた後には、貴重な体験で”やってよかったな”と思いました。こういった大きなイベントがあることで様々な人が集まり何かを共有していくのだと思うと尊く、有意義な1日で、そこに私がいられたことを光栄に思いました。
映画は話の筋がわかりやすく、思わず感情移入してしまいました。映画では、主人公グオルさんを応援する人、支える人、たくす人が多く出てきました。そんな想いに答えようとするグオルさんを素直にかっこいいなと思いました。
映画を見終えた後、シリア料理を食べたのですが、ライスプディングが今度家で再現してみたいと思うほど美味しく、聞いてみると周りにも好評でした。ウガンダ料理も食べてみたかったのですが、お腹と相談した結果見送ることにしました(^^)
難民の方の話はここでしか聞けないことも多く、母国の状況、想いなどを話されており、映画と重なることもありました。世の中、複雑だなと最近つくづく感じるのですが、彼らの、私たちの願いが届くようグオルさんのように何かのために頑張りたいなと思えた1日でした。
来てくださった方、ボランティアの皆様、ありがとうございました。(RAFIQ会員 H・S)

 4.RAFIQ 今後の予定

世界難民の日関西集会「入管法改正から1年 変わったもの 変わらない現実」

6月20日は世界難民の日です。RAFIQでは、6月に難民問題を考えるイベントを開催しています。今回は、日本と韓国の入管収容施設を比較して、入管収容の課題や改善の方向性を探ります。
日時:6月29日(日)14:00~16:00
場所:大阪市立総合生涯学習センター(大阪駅前第2ビル5F)第1研修室
https://osakademanabu.com/umeda/access
オンラインでも配信
参加費:無料(可能な方はご寄付をお願いいたします。寄付サイトhttps://congrant.com/project/cgrafiq/2933)
参加申込:会場参加 https://forms.gle/2BQRjgFV7YswXfGH9
     オンライン参加 https://forms.gle/P3hkmMHzeyAZb3Ge7
主催:NPO法人RAFIQ 難民との共生ネットワーク
協力:公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
 

 

難民裁判
裁判の傍聴で難民を理解し支援しませんか。この裁判は北アフリカ出身の人が、難民認定申請時に入管で作成された供述調書の開示を求めている裁判で、詳細は2.の記事をご参照ください。下記フォームから予約のうえ傍聴すると、担当弁護士による説明会にも参加できます。
日時:7月7日(火)14:30~16:00 
          ※時間は説明会(約1時間)を含み、終了時刻は予定です。 
場所:大阪地方裁判所(大阪市北区西天満2-1-10 )本館10階1007号法廷 
           ※裁判後の説明会は大阪弁護士会館に移動して行います。

予約:https://forms.gle/NJnGR2zoS98NZVTi8

難民初級講座「難民についてもっと知りたい」&ボランティア説明会

日本の難民保護について、諸外国とも比較しながら20年超の支援実績に基づき解説します。講座後のボランティア説明会では、実際の支援について直近の事例からご紹介します。受講された方にはRAFIQ編集のテキスト『もっと知ろう!もっと考えよう! 難民のこと』をお送りします。

オンライン(Zoom)で開催 要予約

日時:毎月第二土曜 次回7月12日(土)14:00~17:00 ※16:00からはボランティア説明会

参加費:2,000円(学生1,000円、RAFIQ会員1,000円)
予約:http://rafiq.jp/learn.html#main_learn_01
※予約された方には開催の約1週間前に参加費の振込先をお知らせします。入金確認後にZoom のURL等を送ります。

難民カフェ
大阪市内の古民家カフェで難民をテーマに語り合う交流会を開催します。予約不要で、難民の問題に関心のある方ならどなたでも参加できます。
日時:毎月第三火曜  次回7月15日(火) 19:00~21:00 
場所:サロン・ド・アマント天人(大阪市北区中崎西1-7-26)
参加費(カレー・チャイ付き難民支援カンパ):1,500円  

日本に逃れてきた難民の支援にご協力を!
RAFIQは関西に暮らす難民を支援するボランティア団体です。
世界各地で紛争が多発し、RAFIQへの相談も増えています。
下記のいずれかの方法で、ご寄付をお願いします。
RAFIQに支援金を送る ワンコインからできる毎月寄付も選択できます!
オンライン寄付サイト Give One で「困窮する難民申請者への生活支援事業」に支援金を送る
https://giveone.net/supporter/project_display.html?project_id=20367
Give Oneでの寄付は税金控除の対象となります。
物品の寄付は「Amazonほしい物リスト」から

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2025年6月号  2025年6月25日発行
 
 発行:NPO法人RAFIQ  難民との共生ネットワーク

 ホームページ: http://rafiq.jp

 お問い合わせ:TEL・FAX:06-6335-4440
      rafiqtomodati@yahoo.co.jp
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