シリアでは、長く続いた独裁政権が崩壊してから1か月がたち、国家の再建が模索され始めています。RAFIQが支援してきたシリア人男性に母国への思いを聞きました。
「アサド政権の崩壊は、私や多くのシリア人にとって長い間待ち望んでいた歴史的な瞬間です。シリアの人々は、ハーフェズ・アサドの時代から息子のバッシャールへと続いた50年以上にもわたる独裁政権の下で暮らしてきました。この政権は私たちの自由を奪い、残酷に抑圧してきました。しかし今、その政権が崩壊しシリアの人々は半世紀ぶりに自由の空気を吸うことができています。私はすべてのシリア人と同様に、政権に反対する考えを持つだけで投獄や追放の対象となっていた恐怖の日々が終わり、初めて自由に意見を表明できるようになりました。
アレッポ出身の私にとって、自分の街の苦しみはシリア全体の物語を象徴しています。かつてシリアの経済的・文化的中心地であったアレッポは、長年の戦争による破壊の象徴となりました。しかし、困難は戦争だけにとどまりませんでした。2023年には、トルコと北シリアを襲った壊滅的な地震がアレッポにも大きな被害をもたらしました。私の家族が数十年間住んでいた家も深刻な損傷を受け、住むことができなくなりました。このため私の家族は安全を求めて何度も移動を余儀なくされました。これらの経験によりシリア人が直面する課題がより鮮明になりましたが、私は人々の意志が最終的に打ち勝つと信じています。
最後に、シリアの人々は野心的で非常に有能であり、過酷な条件の中でも避難先の国々でその能力を証明してきたことを強調したいと思います。シリア人の協力と団結こそが、国を再建する鍵になると確信しています。さらに、シリアに対する経済制裁の解除が、国が再び息づき、効果的に復興プロセスを開始するチャンスを増やすでしょう。シリアには人々の知性と技術による莫大な潜在能力があり、努力を続けることで、国としての地位を取り戻し、次世代に向けた明るい未来を築くことができると信じています。」
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、シリアで不確実性が続いていることを踏まえ、
各国に対し、状況がより明確になるまでは避難している人々の保護を維持し、シリアへの強制送還が行われないように呼びかけています。
【参考】
写真はアレッポ市内 順に
①人々が市内で最も大きな広場で自由とアサド政権の崩壊を祝っています。
②歴史的な城塞の入り口。解放直後に自由シリア軍がシリア革命の旗とパレスチナの旗を一緒に掲げました。
③シリア解放後に交通整理をする女性ボランティアの様子。シリア人の責任感と新しい社会を築くチームワークがよく現れています。