RAFIQ Magazine

2025年1月号

昨年は、RAFIQの活動に応援・ご支援いただきありがとうございます。
2025年も、日本に逃れてきた難民に寄り添い、生活支援・法的支援・就労支援など様々な支援に取り組み、難民と一緒に安心して暮らせる街を目指していきます。
今年も、引き継ぎよろしくお願いします。
 
今回は、難民の声を聞くということで、アサド政権の崩壊後、シリア人は何を感じ・今後何を期待するのか…
支援をしているシリア難民にその思いを書いていただきました。
生の声をぜひ、お聞きください!
目次
1.スーダン難民に補完的保護対象者認定
2.シリア難民に聞く アサド政権崩壊後に思うこと
3.難民支援の現場から アラビア語圏の人の就労支援
4.RAFIQ 今後の予定

.スーダン難民に補完的保護対象者認定

2023年7月に難民認定申請を行ったスーダン難民に、2024年12月、結果が出ました。
難民不認定でしたが、RAFIQの支援対象者としては初めて「補完的保護対象者」として認定されました。
補完的保護対象者の認定制度は、条約上の「難民」ではないものの「難民」と同様に保護すべき紛争避難民などを確実に保護する制度(出入国在留管理庁ホームページより)として、2023年の入管法改正に伴い、同年12月から開始されました。
これにより難民認定申請書は、「難民・補完的保護対象者認定申請書」に変更されています。難民認定申請を行った人は、補完的保護対象者の申請を行わなくても、補完的保護の該当性についても判断されます。彼の事例から補完的保護開始前の申請でもその対象者になることがわかりました。
その結果、難民認定者と同じ5年の定住者の在留資格が与えられたました。
難民認定者との違いは、国際条約での保護ではないことと、難民パスポートが得られないことです。
今後は、国の補完的保護対象者定住支援プログラムを利用することができます。
しかし、就労支援については、出入国在留管理庁のホームページに「国の職員が仕事を探すお手伝いをします。」とありますが、日本語のできない外国人がハローワークに相談に行っても、通訳がいなければ仕事は紹介してもらえません。
またアジア福祉教育財団難民事業本部による日本語などの無料支援がありますが、期間は半年~1年で利用しにくい内容です。より定住しやすいプログラムが必要です。
彼は迫害の理由があり難民と思われますが、スーダンはこの1年半でより危険な国になっています。母国には家族が残っています。彼の一家が安全に暮らせるように今後も支援が必要と考えています。
【参考】
出入国在留管理庁
難民認定手続・補完的保護対象者認定手続
補完的保護対象者等への支援について
 

2.シリア難民に聞く アサド政権崩壊後に思うこと

シリアでは、長く続いた独裁政権が崩壊してから1か月がたち、国家の再建が模索され始めています。RAFIQが支援してきたシリア人男性に母国への思いを聞きました。
「アサド政権の崩壊は、私や多くのシリア人にとって長い間待ち望んでいた歴史的な瞬間です。シリアの人々は、ハーフェズ・アサドの時代から息子のバッシャールへと続いた50年以上にもわたる独裁政権の下で暮らしてきました。この政権は私たちの自由を奪い、残酷に抑圧してきました。しかし今、その政権が崩壊しシリアの人々は半世紀ぶりに自由の空気を吸うことができています。私はすべてのシリア人と同様に、政権に反対する考えを持つだけで投獄や追放の対象となっていた恐怖の日々が終わり、初めて自由に意見を表明できるようになりました。
アレッポ出身の私にとって、自分の街の苦しみはシリア全体の物語を象徴しています。かつてシリアの経済的・文化的中心地であったアレッポは、長年の戦争による破壊の象徴となりました。しかし、困難は戦争だけにとどまりませんでした。2023年には、トルコと北シリアを襲った壊滅的な地震がアレッポにも大きな被害をもたらしました。私の家族が数十年間住んでいた家も深刻な損傷を受け、住むことができなくなりました。このため私の家族は安全を求めて何度も移動を余儀なくされました。これらの経験によりシリア人が直面する課題がより鮮明になりましたが、私は人々の意志が最終的に打ち勝つと信じています。
最後に、シリアの人々は野心的で非常に有能であり、過酷な条件の中でも避難先の国々でその能力を証明してきたことを強調したいと思います。シリア人の協力と団結こそが、国を再建する鍵になると確信しています。さらに、シリアに対する経済制裁の解除が、国が再び息づき、効果的に復興プロセスを開始するチャンスを増やすでしょう。シリアには人々の知性と技術による莫大な潜在能力があり、努力を続けることで、国としての地位を取り戻し、次世代に向けた明るい未来を築くことができると信じています。」
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、シリアで不確実性が続いていることを踏まえ、
各国に対し、状況がより明確になるまでは避難している人々の保護を維持し、シリアへの強制送還が行われないように呼びかけています。
【参考】
 
写真はアレッポ市内 順に
①人々が市内で最も大きな広場で自由とアサド政権の崩壊を祝っています。
②歴史的な城塞の入り口。解放直後に自由シリア軍がシリア革命の旗とパレスチナの旗を一緒に掲げました。
③シリア解放後に交通整理をする女性ボランティアの様子。シリア人の責任感と新しい社会を築くチームワークがよく現れています。

 3.難民支援の現場から アラビア語圏の人の就労支援

RAFIQの支援難民の中で、6か月間の就労可能な在留資格難民申請中の「特定活動」)を得られる人が増えてきました。
アラビア語圏の3名を支援した会員のUさんに、担当した就労支援についてインタビュー形式で聞きました。
Q1.雇用形態はどのようなものですか?
直接雇用1名と、派遣会社からの雇用2名です。
契約が2か月〜3か月のところが多く、雇用の調整に使われており、日本語のできない彼らは一番最初に契約を切られる対象となり、いつ更新ができなくなるかわからない不安定な状態です。
 
Q2.どのように仕事を探しましたか?
他の難民が働いている会社で探した人が1名、以前難民が登録していた派遣会社で探した人が2名です。
 
Q3.仕事を探すときの苦労はどのようなものでしたか?
日本では、どの会社も人手不足と言われていますが、通訳のいるハローワークでもアラビア語には対応しておらず、日本語ができないと仕事が見つからない状態です。
支援者は会社や派遣会社の職員に直接交渉し、面接等にも同席しています。
就職に必要な書類等も日本語と英語しかないところが多く、他の言語を話す人にとっては、記入して提出するのも難しいです。
アラビア語の通訳者や通訳に必要な費用も不足しているので、通訳者の代わりに、スマホなどでの翻訳機能を活用することも必要です。
また、イスラム教徒の人は宗教上、豚肉を扱えませんが、日本の食品業界では豚製品も取り扱うため、仕事に就けない人もいます。
 
Q4.外国人の就労について、改善することはありますか?
まず、雇用契約書の翻訳が必要です。
彼らはネットなどで仕事を探し、高収入な仕事を見つけに行こうとしますが、実際は内容が違っていたり、契約書なしに働いているケースもあります。
日本語ができないことで、雇用されないところも多いですが、スマホなどの翻訳機能が発達しているので問題がないことも多いです。
また、彼らは本国で責任のある仕事をしており、高学歴の人が多いです。
彼らのスキルを活かせる仕事に就くことができれば、その会社に大きく貢献できると思います。
イスラム教徒の人などは、お祈りの時間や場所を確保することなども必要です。
最後に、「外国人であること」「日本語ができない」「在留資格が半年であること」等の障壁があり、難民にとって仕事を探すことはとても大変です。

 4.RAFIQ 今後の予定

ワン・ワールド・フェスティバル

西日本最大級の国際協力のお祭り「ワン・ワールド・フェスティバル」に、RAFIQがブースを出展します。

日時:2月8日(土)・9日(日)10:00~17:00 ※9日は16:30まで

場所:梅田スカイビル・ステラホールほか(大阪市北区大淀中1-1-88)
詳細:https://onefes.net/

難民初級講座「難民についてもっと知りたい」&ボランティア説明会

日本の難民保護について、支援の経験をもとに解説する講座です。講座後のボランティア説明会では、RAFIQの活動もご紹介します。受講された方にはRAFIQ編集のテキスト『もっと知ろう!もっと考えよう! 難民のこと』をお送りします。

オンライン(Zoom)で開催 要予約

日時:毎月第二土曜 次回2月8日(土)14:00~17:00 ※16:00からはボランティア説明会

参加費:2,000円(学生1,000円、RAFIQ会員1,000円)
予約:http://rafiq.jp/learn.html
※予約された方には開催の約1週間前に参加費の振込先をお知らせします。入金確認後にZoom のURL等を送ります。

難民カフェ

古民家カフェで難民をテーマに語り合う交流会を開催します。予約不要で、難民の問題に関心のある方ならどなたでも参加できます。

日時:毎月第三火曜  次回2月18日(火) 19:00~21:00 

場所:サロン・ド・アマント天人(大阪市北区中崎西1-7-26)
参加費(カレー・チャイ付き難民支援カンパ):1,500円  

難民裁判

RAFIQは難民の裁判も支援しています。今回は北アフリカ出身の人が難民不認定の取消しを求めている裁判で、その高裁判決となります。地裁では勝訴しましたが、国が控訴していました。予約された方は傍聴後に記者会見を見学できます。
日時:2月27日(木) 裁判 13:30~ 
場所:大阪高等裁判所(大阪市北区西天満2-1-10 )別館8階 82号法廷 
※記者会見は場所を変えて行います。判決内容の詳細確認のため、裁判終了後、会見まで2時間程度を要する予定です。
予約:https://forms.gle/TKUHY6Gbx2PpfwFY6

おおさか人権フェスタ

大阪弁護士会のイベントにRAFIQがブースを出展します。弁護士と交流しながら、「人権」について学べます。

日時:3月1日(土) 10:00~18:00 

場所:大阪弁護士会館(大阪市北区西天満1-12-5)
詳細: https://www.osakaben.or.jp/event/2025/2025_0301.php 

日本に逃れてきた難民の支援にご協力を!
RAFIQは皆さまからのご寄付で、関西に暮らす難民を支援しています。
下記の方法で、ご支援お願いします。
RAFIQに支援金を送る
オンライン寄付サイト Give One で「困窮する難民申請者への生活支援事業」に支援金を送る
https://giveone.net/supporter/project_display.html?project_id=20367
Give Oneでの寄付は税金控除の対象となります。

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2025年 1月号  2025年1月25日発行
 
 発行:NPO法人RAFIQ  難民との共生ネットワーク

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      rafiqtomodati@yahoo.co.jp
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