RAFIQ Magazine

2024年12月号

今年もいよいよ残りわずかとなりました。
この1年を振り返ると、日本の難民を取り巻く環境は大きく変わりました。
入国者が増え難民申請者数は増加し、RAFIQで支援する難民も増えました。就労支援や住居支援の必要な難民も多く、シェルターの活用など、これまで以上に支援の幅も大きくなっています。
また、入管法の改正に伴い、難民申請の回数制限や難民申請者の強制送還が可能となりました。これは、日本にいる難民申請者にとっても支援側のRAFIQにとっても大きな問題です。今後の動きに注目していきたいです。
日本での難民を取り巻く環境が難しくなっている中で、私たちに何ができるのか。
この1年を、振り返って考えていきましょう。
 
★全難連(全国難民弁護団連絡会議)事務局より、大晦日まで、全難連が選ぶ2024年難民10大ニュースをカウントダウン形式で発表されています。ぜひ、ご覧ください。
全難連ウェブ(http://www.jlnr.jp/refugeenews/)
全難連X(https://x.com/zennanren)
 
目次
1.日本での生活:難民認定からはや5年
2.関空に難民申請相談案内のポスターを掲示へ
3.難民支援の活動報告会を開催
4.RAFIQ 今後の予定

.日本での生活:難民認定からはや5年

2019年にアフガニスタンから来日しその年に難民認定された女性が、この5年を振り返ります。苦労の多い5年間であっただろうと想像はできますが、大きな問題は何だったのでしょう。
「みなさん、こんにちは。私は家族5人で2019年に日本にやってきました。最初のうちは、とても多くの問題や心配を抱えていました。それは次のようなことです。
1.日本語ができない。意思の疎通ができない。
2.仕事探しが大変。
3.子供の小学校のルールも慣行も分からない。
4.子供は学校の授業も活動も分からない。
5.病院でも言葉の壁。
6.買い物も公共交通機関の利用も問題だらけ。
7.運転免許取得にすごい努力をしたけど、語学力不足でうまくいかない。
5年が経過して、今は上のような問題は大きく減り、生活を楽しめるようになりました。
日本語は日本語教室に通い、だいぶ分かるようになりました。学校の制度や子供の教育のルールも理解でき、子供は日本語の授業もOKで、仲間といい関係ができています。職探しの方法や仕事で何が要求されるかも理解でき、求人を見つけ申込むのもスムーズになりました。買い物も病院でのやり取りもずっと楽になりました。夫は教習所に通い努力を続けて、運転免許を取得できました!
私たち5人家族の生活は、5年前に比べとても快適になっています。
まだ十分にできないことも残っています。それは情報に関することです。いろんな通知や、日々の出来事、ニュースなどはまだまだ十分に理解できません。それでも最初のころ直面した問題はずいぶん減少し、生活は改善したことをお伝えしたいです。
日本政府の難民支援、自治体の教育制度、友人たち、そしてRAFIQの難民支援に感謝しています。ありがとうございました。」(日本語要約 阪長満智子)

2.関空に難民申請相談案内のポスターを掲示へ

12月18日、RAFIQが加盟する難民支援団体のネットワーク組織「なんみんフォーラム(FRJ)」が作成したポスターとパンフレット(下の写真)を大阪出入国在留管理局(大阪入管)の関西空港支局へ届けました。これは、外国人に空港で難民認定の申請ができることと電話での相談先を知らせるものです。
そして、この日は空港の難民認定審査場を見学することができました。FRJを通して実現したもので、RAFIQの会員3名が参加しました。
ポスターとパンフレット約500部を渡した後、職員3名の先導で審査場へ。
上陸審査で問題ありとされた人は「入国・難民申請手続総合案内所」で審問を受けます。
難民は、①この総合案内所→②出国待機施設→③空港入管収容場→④大阪入管収容場という順で移送されます。
FRJでは、収容代替措置として空港での庇護希望者が送還や収容されないための支援を行っています。
①②は入国前になります。この段階でRAFIQに相談があれば、入国のための在留許可(一時庇護上陸許可・上陸特別許可など)を得られる可能性があります。
③④は入管に収容された段階になりますが、早期に収容が解けるように支援を行っています。
そのため難民から①②段階でRAFIQに連絡が入ることが重要です。この段階で今回提供したポスターやパンフレットに難民が気付くよう掲示し、手に取れる場所に置いてほしいと伝えました。
総合案内所内で目立つのは「携帯電話禁止」のポスターやイラストでした。出国待機施設では入管が携帯を預かるため携帯は使えないと思い込む人が多いでしょう。
実は①②段階ともに、希望すれば携帯は使えるのです。携帯の使用は希望すれば可能なことをぜひ難民に伝えてほしいと要望しました。
 

 3.難民支援の活動報告会を開催

RAFIQでは、11月24日、年に一度の総会で、会員による活動報告会を行いました。初めに弘川副代表理事から入管法改正による変更点の解説とRAFIQへの影響が報告され、その後、日ごろ難民を支援している会員7名が、それぞれの視点から活動報告を行いました。
法的支援では、難民不認定の取消しを求めた2件の裁判事例が紹介されました。出身国情報が考慮され勝訴した事例と考慮されず敗訴した事例で、日本ではあまり知られていない国の状況を伝え理解を得ることの難しさをあらためて認識することができました。
医療の支援では、激痛で病院に行っても日本語ができずに門前払いされたり、通訳が同行しても外国人はお断りとされることがあり、近場でなかなか受診できないこと、外国人は高額な医療費を請求されることがあることなどが紹介されました。
また、大阪入管の収容場を見学した会員と被収容者を支援する弁護士から、入管法改正により健康には以前よりも配慮されるようになったものの、難民が犯罪者のように扱われる処遇自体は変わっていないことが報告されました。
このほか、難民の住居確保や就職に伴う転居支援についても紹介されました。
この報告会には、会場のエル・おおさかとオンラインで計約30名が参加し、普段活動に参加できない人も熱心に耳を傾け、日本に逃れてきた難民が置かれている厳しい実態を知る機会となりました。
 
RAFIQ 2023年度活動報告はこちら
 

 4.RAFIQ 今後の予定

ワン・ワールド・フェスティバル

西日本最大級の国際協力のお祭り「ワン・ワールド・フェスティバル」に、2025年もRAFIQがブースを出展します。

日時:2月8日(土)・9日(日)10:00~17:00 ※9日は16:30まで

場所:梅田スカイビル・ステラホールほか(大阪市北区大淀中1-1-88)
詳細:https://onefes.net/

難民初級講座「難民についてもっと知りたい」&ボランティア説明会

講座では、日本の難民保護についてRAFIQの20年を超える支援実績をもとに解説します。講座後のボランティア説明会では、RAFIQの活動を詳しくご紹介します。受講された方にはRAFIQ編集のテキスト『もっと知ろう!もっと考えよう! 難民のこと』をお送りします。

オンライン(Zoom)で開催 要予約

日時:毎月第二土曜 次回1月11日(土)14:00~17:00 ※16:00からはボランティア説明会

参加費:2,000円(学生1,000円、RAFIQ会員1,000円)
予約:http://rafiq.jp/learn.html
※予約された方には開催の約1週間前に参加費の振込先をお知らせします。入金確認後にZoom のURL等を送ります。

難民カフェ

RAFIQでは、毎月一回、古民家カフェで難民をテーマに語り合う交流会を開催しています。予約不要で、どなたでも気軽に参加できます。難民支援への第一歩として、ご活用ください。

日時:毎月第三火曜  次回1月21日(火) 19:00~21:00 

場所:サロン・ド・アマント天人(大阪市北区中崎西1-7-26)
参加費(カレー・チャイ付き難民支援カンパ):1,500円  
 
RAFIQは12月28日(土)から1月5日(日)まで休業します。

日本に逃れてきた難民の支援にご協力を!
RAFIQは皆さまからのご寄付で、関西に暮らす難民を支援しています。
下記の方法で、ご支援お願いします。
RAFIQに支援金を送る
オンライン寄付サイト Give One で「困窮する難民申請者への生活支援事業」に支援金を送る
https://giveone.net/supporter/project_display.html?project_id=20367
Give Oneでの寄付は税金控除の対象となります。

バックナンバーはこちら!
facebook
 
RAFIQ Magazine
2024年 12月号  2024年12月25日発行
 
 発行:NPO法人RAFIQ  難民との共生ネットワーク

 ホームページ: http://rafiq.jp

 お問い合わせ:TEL・FAX:06-6335-4440
      rafiqtomodati@yahoo.co.jp
配信解除