RAFIQ Magazine

2024年9月号

RAFIQでは9月から新規に入国したビルマ(ミャンマー)難民の支援を始めました。今号では、協力団体の日本ビルマ救援センターにビルマの状況を寄稿していただきました。
 
※「ミャンマー」は軍事政権が変更した国名のため、ここでは「ビルマ」と表記しています。
目次
1.保護費打ち切りで困窮する難民申請者
2.寄稿 ビルマ(ミャンマー)の現状
3.大阪入管で初めて面会支援をして
4.RAFIQ 10月の予定

.保護費打ち切りで困窮する難民申請者

RAFIQでは、難民認定申請中で就労資格のない人や仕事が安定していない人が、アジア福祉教育財団難民事業本部(RHQ)から保護費を受給できるように支援を行ってきました。RHQは政府から委託されて難民等の支援を行っている団体です。
今春以降、就労可能な在留資格を得たばかりでまだ仕事に就けていない人等の保護費が打ち切られるケースが相次いでいます。
難民申請中に就労可能な6か月更新の在留資格「特定活動」が得られても、日本語ができず日本の習慣にも慣れていない外国人が仕事を見つけるのはとても大変です。
仕事が見つかっても続けられるかしばらく様子を見ないとわかりません。
就職に際して、1年以上の在留資格と日本語能力を求められることが多い中で、RAFIQでは生活支援チームが難民申請者に寄り添い、苦労して就職先を見つけています。
最近、保護費を打ち切られたのは、まだ仕事が見つかっていない人と、職に就けたものの収入が10万円に満たない人です。彼らは、今後どのように生活をしていけばよいのでしょうか?支援団体の経済的負担がまた重くなっています。
RAFIQでは、難民申請中の生活保障の基本をRHQに頼ってきました。基本的人権が守られる生活支援策が必要です。
海外の事例については、難民研究フォーラムの「難民申請者への国による生活支援の状況」 をご参照ください。
 
 
アジア福祉教育財団難民事業本部(RHQhttps://www.rhq.gr.jp/
 
難民研究フォーラム 
各国比較:難民申請者への国による生活支援の状況 |  https://refugeestudies.jp/2023/11/research-social-assistance/
               

2.寄稿 ビルマ(ミャンマー)の現状

一般社団法人日本ビルマ救援センター 
代表理事 中尾恵子
 
UNHCRの2024年9月2日の報告によると、ビルマから近隣国への流出は115万人、難民、亡命希望者は308万人、国内避難民は336万人とあります。
ことの発端は、2021年2月1日早朝、民主化が進むビルマで軍が政権を奪取するという衝撃的な事件でした。軍はスーチー国家顧問とウィンミン大統領のほか与党幹部ら400人以上を拘束し、非常事態を宣言しました。
クーデターが起きた当初、世界はビルマに関心の目を向けましたが、その後ロシアのウクライナ侵攻や中東、ガザ紛争の発生で、ビルマへの関心は薄らいでいます。3年8か月たった今、軍と民主派、少数民族の武装勢力の三つ巴の争いへと事態は複雑かつ悪化の様相を深めています。ロヒンギャへの迫害問題や自治を求める少数民族と軍の対立も未解決のままで、国内秩序の回復や民主化への復帰はめどが立っていません。対外面では軍は欧米などの国際社会と対立し、孤立を深め、国際機関やASEANの仲介努力も実を結んでおらず、一方で中国の関与が深まりつつあります。
そんな中、台風11号(ヤギ)がビルマを襲いました。軍は被災から1週間以上たって国際社会に支援を求めましたが、全国の被害状況さえも明らかにしていません。少数民族地域に空爆を落とし続ける軍が、被害のあった地域に支援を届けるとは到底考えられません。
日本ビルマ救援センターは、タイ側のカウンターパートと連携し、確実に被災地に支援を届けることができます。募金活動も行っていますので、ご協力をお願いいたします。
 
日本ビルマ救援センター http://www.brcj.org/

 

支援物資の配布          台風による洪水被害          日本での募金活動

写真3点はいずれも2024年9月に撮影

 3.大阪入管で初めて面会支援をして

大阪出入国在留管理局(大阪入管)に収容されている人との面会に、通訳として初めて同席しました。
収容施設という名前から、何か悪いことをした人が入れられるようなところという感じがしていました。実際に面会に行っても、クリア板で仕切られている小部屋で、難民の方と話をしました。しかも30分だけでした。話によると収容されて8日間、2回しか携帯電話が使えなかったそうです。パスポート不所持で法に違反したから仕方がないのでしょうか。国に返されることを恐れて、機内で捨てたと話していました。空港の入国審査でも自分は難民だ、国に帰ると自分の身が危険だと訴えたそうです。それでも、こんなふうに収容されてしまいました。この難民の方は、この先どうなるのかわからない状況で不安そうでした。私も、まだ支援をして経験が浅いので、この先どうなるんだろうか、と不安になりました。私が知っているのは、日本は難民の認定率がとても低いということ。そして、認定されるまで時間がかかるということ。話を聞きながら、辛かったですね、もう大丈夫ですよと言って安心させてあげたかった...。そう言える日がいつになるのか。その日まで少しでも力になりたい、そう思いました。(RAFIQ会員 W)

 RAFIQ 10月の予定

難民裁判の傍聴

RAFIQは難民の裁判も支援しています。10月には2件の裁判があります。
いずれもアフリカ出身の人が難民不認定の取消し等を求めている裁判で、3日の裁判では提訴から約3年をへて判決が下されます。30日は、地裁で難民が勝訴したものの、被告の国が控訴したため高等裁判所で審理される裁判で、今回がその第1回となります。裁判が長引くことにより、安心して暮らせる日がまた遠のきました。苦しみを抱えた人が見捨てられることのないように、支援を続けていきます。
裁判傍聴はだれにでもできる難民支援の一つです。
 
(1)難民不認定・在留特別許可不許可取消訴訟 
 判決は短時間ですが、予約された方は傍聴の後、記者会見を見学できます。
    日時:10月3日(木) 裁判 13:10~ 記者会見 15:00~  
    場所:大阪地方裁判所(大阪市北区西天満2-1-10 )8階 806号法廷 
    ※記者会見は場所を変えて行います。
    
(2)難民不認定取消訴訟 予約された方は傍聴後の説明会に参加できます。
    日時:10月30日(水) 10:30~12:00 
    ※弁護士による説明会(約1時間)を含み、終了時刻は予定です。
    場所:大阪高等裁判所(大阪市北区西天満2-1-10)8階 82号法廷
    ※説明会は場所を変えて行います。
 予約:https://forms.gle/oiFbckWSEaKvpG6a6

難民初級講座「難民についてもっと知りたい」&ボランティア説明会

毎月開催のこの講座では、日本の難民保護について、諸外国と比較しながら解説します。講座後のボランティア説明会では、RAFIQの活動をご紹介します。受講された方にはRAFIQ編集のテキスト『もっと知ろう!もっと考えよう! 難民のこと』をお送りします。
オンライン(Zoom)で開催 要予約

日時:毎月第二土曜 次回10月12日(土)14:00~17:00 ※16:00からはボランティア説明会

参加費:2,000円(学生1,000円、RAFIQ会員1,000円)
予約:http://rafiq.jp/learn.html
※予約された方には開催の約1週間前に参加費の振込先をお知らせします。入金確認後にZoom のURL等を送ります。

食の文化祭~高槻ジャズとグルメフェア~

食と音楽のイベント会場に設けられる社会貢献の広場に、RAFIQがブース出展します。

日時:10月13日(日) 10:00~17:00   
※イベントは12日からの二日間ですが、RAFIQの出展は13日のみとなります。
場所:高槻城公園(高槻市城内町) 

難民カフェ

毎月、大阪キタの古民家カフェで、難民がテーマの交流会を開催しています。RAFIQメンバーに気軽に質問ができ、難民当事者が参加することもあります。予約不要

日時:毎月第三火曜 次回10月15日(火) 19:00~21:00 
場所:サロン・ド・アマント天人(大阪市北区中崎西1-7-26)
参加費(カレー・チャイ付き難民支援カンパ):1,500円  
協力イベント
(1)映画「ワタシタチハニンゲンダ!」上映会 要予約 
 キネマ旬報ベスト・テンにも選ばれたドキュメンタリー映画(上映時間114分)で、外国
 人差別の本質に迫ります。RAFIQも取材に協力しています。
    当日、会場ではRAFIQのチャリティグッズを販売します。
 日時:10月6日(日)13:30~17:00 ※15:50からは髙賛侑監督のトーク   
    場所:クロスパル高槻5F視聴覚室(JR高槻駅南口すぐ) 
    協力金(当日) :500円   18歳以下無料
 主催:NPO法人SEAN http://npo-sean.org/t-mission/
 後援:高槻市社会福祉協議会
    
(2)ラーラスクエア「アフガニスタン東部4州」
    アフガニスタンの歴史を振り返り、現地からの声も届けます。
    前日までに要予約 参加無料
 日時:10月13日(日) 20:00~ 21:30  オンライン(Zoom)で開催       

 主催:アフガン支援ラーラ会 https://www.lala-afg.org/

日本に逃れてきた難民の支援にご協力を!
RAFIQは皆さまからのご寄付で、関西に暮らす難民を支援しています。
下記の方法で、ご支援お願いします。
RAFIQに支援金を送る
オンライン寄付サイト Give One で「困窮する難民申請者への生活支援事業」に支援金を送る
https://giveone.net/supporter/project_display.html?project_id=20367
Give Oneでの寄付は税金控除の対象となります。

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2024年 9月号  2024年9月25日発行
 
 発行:NPO法人RAFIQ  難民との共生ネットワーク

 ホームページ: http://rafiq.jp

 お問い合わせ:TEL・FAX:06-6335-4440
      rafiqtomodati@yahoo.co.jp
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