RAFIQ Magazine

2024年7月号

世界各地で武力紛争が続くなか、戦争について考えさせられる映画が話題になっています。「関心領域」はアウシュビッツ収容所の隣に住む家族の物語。隣で起こっていることに関心を持たず、穏やかに暮らす様子は異様です。8月2日公開の「風が吹くとき」はほのぼのとしたアニメーションで核戦争の恐怖を描きます。37年前に世界で高く評価されたこの作品がリバイバル上映される背景には、今、核の脅威が現実味を帯びていることがあります。映画が、現実世界で起こっていることの本質を見抜くヒントになるかもしれません。

目次
1.難民不認定取消訴訟に勝訴したLGBT難民を国側が控訴
2.難民カフェスペシャルに参加して
3.大阪マラソン2025のチャリティランナー募集
4.RAFIQ 8月・9月の予定

.難民不認定取消訴訟に勝訴したLGBT難民を国側が控訴

7月4日、大阪地方裁判所で、RAFIQが支援する北アフリカ出身のLGBT男性が難民不認定の取消しを国に求めていた裁判の判決が下りました。難民側の勝訴でした。LGBT難民の裁判は2例目で、昨年3月の女性の勝訴に次ぐものでした。この勝訴は関西の多くのマスコミが報道し、全国でも報道されました。
10日にはRAFIQが「控訴しないこと、早期に難民認定すること」の要望書を法務大臣宛に提出しました。しかし、国側の出入国在留管理庁(入管)は17日に控訴しました。
判決文は、原告の主張を丁寧に分析し、認めたものでした。昨年3月のLGBT難民の判決との違いは、LGBTを犯罪とする刑法がある国からの迫害に加え、家族からの迫害を認めたことでした。
昨年3月に入管が発表した「難民該当性判断の手引き」では「性的マイノリティは、難民条約上の迫害理由にいう『特定の社会的集団の構成員』に該当し得る」と書かれています。また、家族が迫害主体になり得ることも明記されおり、彼も難民に該当するはずです。難民不認定とされる理由はなぜでしようか?これは、入管の控訴理由を見ないとわからないので今後、分析することとなります
昨年7月の裁判開始以来、多くの人が傍聴し、本人尋問の日と判決の日には傍聴席が満席になりました。勝訴を願う支援者の気持ちは裁判官にも伝わっていたことでしょう。
原告の彼とRAFIQのメンバーが初めて会ったのは、2022年2月でした。この時の相談は、難民申請が不認定になり審査請求を行っていたが、1月に入管から「(難民審査参与員に対する)口頭意見陳述不実施」と「(難民認定)手続き終結」の通知が来た、入管からは「2か月以内に帰れ」と言われている、というものでした。つまり口頭意見陳述の機会を与えられず難民不認定となり送還されるというものでした。
この時点で2020年1月に難民認定を申請してから2年が経過しており、現在は4年半が経過しています。彼は仮放免中で在留カードもなく、また不安定な立場に立たされてしまったのです。
彼は、地裁での裁判中はアジア福祉教育財団難民事業本部(RHQ)から保護費を受給していましたが、高裁では基本的に保護費の対象にならないのです。弁護士の意見書を付けて特別枠での受給を申請することにしました。生活保障がないことは「裁判を受ける権利」を奪うことにもなるのです。
今後、法廷は大阪高等裁判所に移ります。引き続きご支援をよろしくお願いいたします。
                                         勝訴後の記者会見

2.難民カフェスペシャルに参加して

6月23日に、「難民カフェスペシャル 映画×難民による故郷の料理×トーク」を開催しました。本イベントは、6月20日の「世界難民の日」に合わせ、難民への理解と関心を深めることを目的として企画されました。

映画はガザ地区を舞台にした「医学生ガザへ行く」を上映しました。3回に分けて上映し、雨天にもかかわらず、トータル約60名の方にご参加いただきました。
料理はエジプト料理とイエメン料理を提供しました。どちらの料理も初めて食べるものでしたが、とても美味しかったです。
トークでは、難民の方に出身国の現状や日本人へのメッセージを話していただきました。
私はスタッフとして参加し、一緒に料理の手伝いなどをして近くで難民と関わり、思ったことはその人が難民かどうか分からないということです。普通に服を着て買い物をして、日本語を少しだけ話して一般の人と何も変わりません。自分が普段すれ違う人の中にどれだけいるのだろうと思いました。彼らが1日でも早く安心した生活を送れるように自分にできることをやっていきたいと思いました。
(RAFIQボランティア K

 

今回の難民カフェスペシャルは映画とのコラボということで、とても楽しみにしていました。映画は、救急外科医になるためガザ地区に留学した学生のリアルな生活や彼の感情などが描かれており、報道などで知っていたガザ地区とは少し違った一面を見ることができました。その中でも、一番印象に残っているのが「僕には帰る場所があるが、彼らの帰る場所はここだから…」という彼の言葉です。自分の故郷が同じような状態になってしまったら、帰る場所がないとしたなら、どうするのか。今の自分の生活がどれほど貴重なことで、当たり前のことではないことか。また、ガザ地区を故郷に持つ彼らに、私たちは何ができるのか。様々な感情が頭をよぎり、考えさせられました。また、難民の故郷の料理をいただきましたが、とても美味しく、難民の方の気持ちをとても感じました。一緒に参加した夫もとても楽しく、多くを学ばせてもらったと絶賛していました。(RAFIQ会員 K・K)

 3.大阪マラソン2025のチャリティランナー募集

RAFIQは昨年に続き大阪マラソンの寄付先団体に承認されたことを受け、大阪マラソン2025のチャリティランナーを募集しています。
大阪マラソンでは「みんなでかける虹。」を合言葉に、参加する全てのランナーをはじめ、観客の皆さん、ボランティア等、多くの人に、チャリティに参画する機会を提供するなど、チャリティ文化の普及をめざしています。
RAFIQのチャリティランナーとして走っていただくことで、日本に逃れてきた難民がさまざまな課題に直面していること、日本で暮らす私たちにできる難民支援があることを広く伝える機会にできればと思っています。
大阪マラソン2024のチャリティを通じていただいた約80万円のご寄付は、現在、難民の方々への医食住をはじめとする支援のために大切に使わせていただいています。
チャリティランナーは、RAFIQの活動に賛同される方であれば、RAFIQの会員・ボランティアでなくてもなることができます。走ってみたい方、関心がある方は、8月14日にRAFIQが行う説明会にお申し込みください。
大阪マラソン2025
日時:2025年2月24日(月・振替休日)
チャリティランナー募集期間:2024年7月23日~10月16日
 
大阪マラソンRAFIQ説明会 昨年のランナーも参加します。
日時:2024年8月14日(水) 19:00~20:00
説明会の申し込みはここからお願いします。締め切り8月13日 
                                                            大阪マラソン2024の事前イベントとチャリティランナー

 4.RAFIQ 8月・9月の予定

難民初級講座「難民についてもっと知りたい」&ボランティア説明会

毎月開催のこの講座では、日本における難民保護について、諸外国と比較しながら解説します。講座後のボランティア説明会では、RAFIQの活動を具体例でご紹介します。受講された方にはRAFIQ編集のテキスト『もっと知ろう!もっと考えよう! 難民のこと』をお送りします。
オンライン(Zoom)で開催 要予約

開講日:8月11日(日・祝)、9月14日(土) ※両日とも同じ内容です。

時間14:00~17:00 ※16:00からはボランティア説明会

参加費:2,000円(学生1,000円、RAFIQ会員1,000円)
予約:http://rafiq.jp/learn.html
※予約された方には開催の約1週間前に参加費の振込先をお知らせします。入金確認後にZoom のURL等を送ります。

難民カフェ

緑に覆われた古民家カフェで、毎月第3火曜の夜に開催している「難民カフェ」。予約不要でどなたでも参加できます。RAFIQのメンバーや時には難民当事者の方とも交流しながら、難民の問題について語り合う場としています。
日時:8月20日(火) 19:00~21:00  
場所:サロン・ド・アマント天人(大阪市北区中崎西1-7-26)
参加費(カレー・チャイ付き難民支援カンパ):1,500円 

 

日本に逃れてきた難民の支援にご協力を!
RAFIQは皆さまからのご寄付で、関西に暮らす難民を支援しています。
下記の方法で、ご支援お願いします。
RAFIQに支援金を送る
オンライン寄付サイト Give One で「困窮する難民申請者への生活支援事業」に支援金を送る
https://giveone.net/supporter/project_display.html?project_id=20367
Give Oneでの寄付は税金控除の対象となります。

 
次回のRAFIQ Magazineは、9月下旬の配信予定です。8月はお休みさせていただきます。
 

バックナンバーはこちら!
facebook
twitter
 
RAFIQ Magazine
2024年 7月号  2024年7月25日発行
 
 発行:NPO法人RAFIQ  難民との共生ネットワーク

 ホームページ: http://rafiq.jp

 お問い合わせ:TEL・FAX:06-6335-4440
      rafiqtomodati@yahoo.co.jp
配信解除