7月4日、大阪地方裁判所で、RAFIQが支援する北アフリカ出身のLGBT男性が難民不認定の取消しを国に求めていた裁判の判決が下りました。難民側の勝訴でした。LGBT難民の裁判は2例目で、昨年3月の女性の勝訴に次ぐものでした。この勝訴は関西の多くのマスコミが報道し、全国でも報道されました。
10日にはRAFIQが「控訴しないこと、早期に難民認定すること」の要望書を法務大臣宛に提出しました。しかし、国側の出入国在留管理庁(入管)は17日に控訴しました。
判決文は、原告の主張を丁寧に分析し、認めたものでした。昨年3月のLGBT難民の判決との違いは、LGBTを犯罪とする刑法がある国からの迫害に加え、家族からの迫害を認めたことでした。
昨年3月に入管が発表した「難民該当性判断の手引き」では「性的マイノリティは、難民条約上の迫害理由にいう『特定の社会的集団の構成員』に該当し得る」と書かれています。また、家族が迫害主体になり得ることも明記されおり、彼も難民に該当するはずです。難民不認定とされる理由はなぜでしようか?これは、入管の控訴理由を見ないとわからないので今後、分析することとなります。
昨年7月の裁判開始以来、多くの人が傍聴し、本人尋問の日と判決の日には傍聴席が満席になりました。勝訴を願う支援者の気持ちは裁判官にも伝わっていたことでしょう。
原告の彼とRAFIQのメンバーが初めて会ったのは、2022年2月でした。この時の相談は、難民申請が不認定になり審査請求を行っていたが、1月に入管から「(難民審査参与員に対する)口頭意見陳述不実施」と「(難民認定)手続き終結」の通知が来た、入管からは「2か月以内に帰れ」と言われている、というものでした。つまり口頭意見陳述の機会を与えられず難民不認定となり送還されるというものでした。
この時点で2020年1月に難民認定を申請してから2年が経過しており、現在は4年半が経過しています。彼は仮放免中で在留カードもなく、また不安定な立場に立たされてしまったのです。
彼は、地裁での裁判中はアジア福祉教育財団難民事業本部(RHQ)から保護費を受給していましたが、高裁では基本的に保護費の対象にならないのです。弁護士の意見書を付けて特別枠での受給を申請することにしました。生活保障がないことは「裁判を受ける権利」を奪うことにもなるのです。
今後、法廷は大阪高等裁判所に移ります。引き続きご支援をよろしくお願いいたします。
勝訴後の記者会見